環境づくり
2019.3.18
集合住宅に住んでいると、ご近所の手前、子どもの声や足音などにも気をつかってしまいます。「どうしたら静かにしてくれるの?」と頭を悩ませる人もいるかもしれませんが、子どもは実は静かな環境が大好きなのです。
子どもが自分で靴を履こうとして、なかなかうまく履けずにいると、大人が横からサッと履かせることがあります。すると子どもは泣き出したり、かんしゃくを起こしたり、怒って履かされた靴をまた脱いだりして、大人はなだめるのに一苦労……。出かける前に疲れてしまった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
幼稚園や保育園では、子どもたちがそれぞれ大きな声でお話をしたり、走り回ったりして、先生が「静かにしなさい!」「先生のお話を聞いてください」と大きな声で呼びかけているイメージがあります。
ところがICEモンテッソーリこどものいえの教室をのぞいてみると、たくさんの子どもがいるのに、室内はとても静かです。
これは静かにするように強制されているわけではありません。子どもたちがそれぞれ自分で選んだ作業に集中した結果、静かな空間が生まれているのです。これを、モンテッソーリ教育では、「集中現象」といい、静かで落ち着いた空間があるからこそ、子どもは思う存分自分のやりたいことができるのです。
教師も必要なときに、必要な言葉を発するだけです。子どもを一人の人間として尊重しているので、何かに夢中になっているときに、集中を途切れさせるような大きな声を出すことはありません。危険な瞬間や、困った行動をしてしまったときも、その子の近くで聞こえるくらいの声で話します。
教えるよりも「見せる」でもご紹介したように、モンテッソーリ教育には、「提示(提供)」という独自の考え方があり、大人が「やってみせる」ことで、子どもに伝えます。大きな声で「静かにして!」と言うのではなく、大人が小さな声で話しかける姿を見せてあげましょう。
モンテッソーリ教育には「静粛練習」というものがあります。これは大人が子どもを静かにさせるのではなく、子どもが自分の意志で自己をコントロールして、静かな空間の素晴らしさを実感するための活動です。
あるときマリア・モンテッソーリが、子どもたちに、眠っている赤ちゃんを見せて「こんなふうに静かにできるかしら?」と尋ねたところ、子どもたちが自分たちの意志で、目をつぶって声を抑え、できるだけ体を動かさないようにして、静かにすることを楽しんだといわれています。このことが、静粛練習のきっかけになりました。
静粛練習には、音をたてないように歩いたり、静かに物を置いたり、ベルを持って鳴らさないように歩く、ベルを鳴らさないように隣の子どもに受け渡すなど、さまざまな方法があります。子どもたちはとても真剣に、自分の動きや気持ちをコントロールしようと集中します。
目をつぶって一定時間、耳を澄ませて周囲の音を聞き、後からどんな音が聞こえたかを話し合うのもひとつの方法です。雨の音や、セミの鳴き声、秋の虫の音に耳に澄ませることで、静けさを楽しめるようになります。ご家庭でもぜひ試してみてください。
年齢別
環境づくり
新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として「手洗い」が推奨されています。ところが「子どもが手洗いを嫌がる」「何度言っても自分からやらない」という悩みもよく耳にします。子どもに手洗いの習慣をつけるには、どうすればいいのでしょうか?
環境づくり
子どもが2~3歳になると、些細なことで、急に怒り出したり、泣き出したりすることがあります。いつもとちがう靴を履かせようとした、お母さんのマグカップをお父さんが使った、幼稚園の帰りにいつもとちがう道を通ったなど、この時期の子どもにとって「いつもと同じ」は、とても重要な意味があるのです。
環境づくり
2~3歳ごろになると、「はさみ」に興味を持ち始める子どもが増えてきます。危ないからと遠ざけてしまわず、子どもの手のサイズに合ったはさみと専用の用紙を用意して「切りたい!」という子どもの意欲に応えましょう。