2~3歳ごろになると、「はさみ」に興味を持ち始める子どもが増えてきます。危ないからと遠ざけてしまわず、子どもの手のサイズに合ったはさみと専用の紙を用意して「切りたい!」という子どもの意欲に応えましょう。
モンテッソーリ教育では、「日常生活の練習」として、2歳前後から、はさみを使い始めます。
はさみを開閉したり、線に沿って切ったりすることで、「手や手首の調整力」が洗練されていきます。同時に、刃先は人に向けない、受け渡すときは刃の側を持ち、持ち手を相手に差し出すなど、安全で正しいはさみの扱い方を通して、社会性を身につけることもできます。
はさみは子どもの手の大きさに合ったサイズで、弱い力でスムーズに切れるように設計された、子ども用はさみを選んであげましょう。開閉を補助するバネがついているものや、刃がガードで覆われているものを選べば安心です。
では、はさみで何を切らせるのがよいのでしょうか?
ICE幼児教室や、モンテッソーリこどものいえでは、子どもの発達段階に合わせて切る練習ができる「はさみきり台紙」を使っています。
子どもの手で持ちやすいサイズで、適度な厚みとコシのある紙を使っているので、持ったときにふにゃふにゃせず、切りやすいのがポイントです。はさみで切るところは太線で描かれているので、子どもにもわかりやすいでしょう。
大人がゆっくりとお手本を見せたら、刃をチョキンと一度閉じるだけで切り落とせる「1回切り」からスタート。最初はイラストの間の線がないものを切り、つぎにイラストとイラストの間の線を1回切りで切り落とします。切り落とした紙片は大切な作品です。受けるためのトレーを用意しましょう。
はさみきり台紙は、チョキチョキと二度開閉する「2回切り」、長い直線を切る「連続切り」、「曲線切り」と少しずつレベルアップしていきます。さらに、波線やうずまきなどの曲線を連続して切ったり、複雑な絵柄や対称図形の重ね切りができるようになります。
幼児期は、指先を上手に使う力=巧緻性が最も発達する時期だといわれています。また、「指を満たすことで、心が満たされる」というように、この時期に好きなだけ手や指先を使うことで、達成感が生まれ心が落ちつき、自信を持って意欲的に物事に取り組めるようになるなど、次の成長にもつながります。
子どもがはさみを使いたがるときは、指先を満たす良い機会だと考えましょう。子ども用のはさみや、はさみきり台紙を用意して、大人はそばで見守るだけでよいのです。
子育ての悩み
子どもがスプーンやおもちゃを手当たり次第に床に落としたり、放り投げたりすることがあります。大人は「いたずらばかりで困る」と思うかもしれませんが、これはいたずらではなく、子どもの手や指の発達を助け、動きを獲得するために必要なことなのです。
子どもの力を伸ばす
子どもをどう叱るか、というのは難しい問題です。「叱る」には、よりよい方向に導くという意味がありますが、親の都合で感情的に子どもを「叱る」のではなく単に「怒って」しまい、後悔した経験を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、子どもの叱り方について一緒に考えてみましょう。
子どもの力を伸ばす
子どもが2歳くらいになると、まだ自分でできないことでも「自分で!」「する!」と主張し始めます。これは、自分のことが自分できる=自立への大切な第一歩です。大人はできるだけ手を出さずに見守り、困っているときだけ手伝うというスタンスで、子どもの気持ちに寄り添えるといいですね。