「子どもの環境」と聞くと、自然が豊かな環境、季節を感じられる環境などを思い浮かべる人も多いでしょう。もちろんそれもとても重要ですが、モンテッソーリ教育では、子どもを取り巻くあらゆるものを「環境」と考えています。では、整えられた環境とは、どんなものなのでしょうか。
モンテッソーリ教育では、外的環境に加えて、子どもが過ごす部屋や家具、子どもが使う道具やおもちゃ、親や教師など子どもと関わる人たちまで、子どもを取り巻くすべてを「環境」と捉えます。子どもたちが安心して自由に活動できるように、環境を整えることをとても重要視しています。
アイシーイーこどものいえでは、子どもたちが自由に動けるようにゆとりのあるスペースが確保され、子どもの背丈に合った椅子やテーブルを用意しています。教具の並んでいる棚も、子どもたちが自由に出して、片付けられるように、いつも整理整頓してあります。
では、家庭ではどんなことからできるのでしょうか。
まず、子どもが好きなだけ自由にハイハイしたり、歩き回ったりできるように、床のスペースをできるだけ広く確保しましょう。キッチンに入れないようにガードをつけている家庭も多いのですが、子どもは大人が料理をしたり、洗い物をする姿を見ることで、日常生活を学びます。安全を確保したうえで、キッチンにも自由に出入りできるといいですね。
私たちが普段過ごしている環境は、ほとんどが大人向けにできています。子どもが「これをやってみたい」と興味を持っても、子どもには大きすぎる、重すぎる、手が届かないなど、自分ひとりでは扱えないものばかりです。子どもが日常的に使う道具は、できるだけ子どもサイズで扱いやすいものを大人が吟味して、用意してあげましょう。
たとえば、はさみ。
ここで大切なのは、手を切ることを心配して切れないものを与えるのではなく、道具としてきちんとしたものであることです。サイズやグリップは子どもの手に合ったものを選び、「切る」という作業がしっかりできることがポイントです。
食器なども同じで、落としても割れないプラスチック製ではなく、大人と同じ素材を選ぶことをおすすめします。本物は子どもの目にも魅力的です。本物を与えられることで、物を丁寧に大切に扱うことを学ぶのです。
子どもの環境づくりといっても、特殊なことをするわけではありません。子どもにとって使いやすく、きちんとした道具を選ぶことも、環境づくりのひとつなのです。
子育ての悩み
子どもがスプーンやおもちゃを手当たり次第に床に落としたり、放り投げたりすることがあります。大人は「いたずらばかりで困る」と思うかもしれませんが、これはいたずらではなく、子どもの手や指の発達を助け、動きを獲得するために必要なことなのです。
子どもの力を伸ばす
子どもをどう叱るか、というのは難しい問題です。「叱る」には、よりよい方向に導くという意味がありますが、親の都合で感情的に子どもを「叱る」のではなく単に「怒って」しまい、後悔した経験を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、子どもの叱り方について一緒に考えてみましょう。
子どもの力を伸ばす
子どもが2歳くらいになると、まだ自分でできないことでも「自分で!」「する!」と主張し始めます。これは、自分のことが自分できる=自立への大切な第一歩です。大人はできるだけ手を出さずに見守り、困っているときだけ手伝うというスタンスで、子どもの気持ちに寄り添えるといいですね。